『静岡マラソン』三度目の正直…。
天気予報では雨予報だったが、現地では朝から何故か太陽が顔を出す。
おいおい…。カッパと雨対策に上着まで購入したのに。
荷物になるので半袖を置いてきたことを後悔する。
朝一番の始発(私鉄)に乗り、静岡市に向かう。
駅では、同じような格好をした人ばかりで、混雑していた。
聞き耳を立てると、地元では聞き慣れない発音のお喋りが聞こえた。
この大会は規模が年々大きくなり、今年は一万二千人位のランナーが集う。
全国からのランナーのお目当ては、やはり
『富士山』
地元に住む私は、何となく嬉しい気持ち。
二年連続で雨なので、今年こそは富士山を見ながら走れるかもしれない。
スタート開始から約一時間前に会場入り。
既にランナー達で溢れ返っていた。
この光景は何度見ても、込み上げるものがある。
皆、この日の為に頑張ってきたのだろう。
そんな思いが、私も頑張らなきゃと、自分のテンションも自然と上がる。
道端に荷物を置き、支度を始める。
用意してきた、カッパも出番がないなと荷物の下に入れ直す。
スマホのアプリで計測しながら走る。
今日までの私のペースは㌔5:10前後。
このペースが維持できれば、サブフォー切るのも可能だ。(4時間を切る)
荷物を預けスタートラインに着く。
いよいよ始まる‼。
2度目のフルマラソン。
8:20分、号砲が駿府城に響き渡ると、ランナー達は一斉に走り出す。
人が多いため、なかなかスタートライン迄が遠い。
ようやくたどり着きスタート。
最初は予想通りの混雑で中々前に抜け出せず、のらりくらり状態。
これが5㌔地点迄続く。
前のランナーとぶつからないよう配慮しながら、自分のペースを保ちつつ前に進む。
10㌔通過で58分39秒。少し遅れている。
しかし後半で必ずペースが落ちるので、余裕を持ったペース配分だ。
㌔5:10秒を保ちつつ、20㌔地点通過。
この時に少し雲行きが怪しくなる。
頬には少し雨があたり始める。
20㌔地点でのタイムは、1時間49分05秒
少しペースが上がる。
まだまだ先は長い。
途中で雨が降り始め、身体が濡れる。
だが、火照った身体には丁度良い。
ここで1回目の栄養チャージ。
ポケットに市舞い込んだ、エネルギー補給食を口に入れる。
30㌔地点通過。2時間40分43秒
ペースは少し落ち、身体も所々痛み出す。
ランナーにとっての壁35㌔までまだあるのに…と思いながらも、走っていると、33㌔付近で突如、体から力が抜けてく感覚が走る‼。
ヤバイ、予定より早めに来てしまった。
スタミナ切れだ。この感覚は前回でも経験していたから分かっていた。
身体が脱力感に襲われ、足を前に出したくても、出そうとしても頭では思っても身体は動かない。
ペースは落ち、足も滑り出す。
もう少し後で補給したかったのだが、2度目のエネルギー補給をとる。
しばらくすると、身体に活力が戻り、もうひと踏ん張りできそうな感じになる。
後7㌔、エイドステーションでの補給のみとなる。
35㌔地点通過、3時間09分16秒と、ペースは落ちてくものの、サブフォーがいよいよ現実味を帯びてきた頃、右足がつり始める。
マジか!ここまで来て、しかも右足がなんて…と、ここでついに足が止まってしまう。
歩かないのも目標だっただけに、悔しい気持ちになる。だが、まだサブフォー達成が残っている。その場で簡単なストレッチをし、筋肉をほぐして再び走り出す。
だが、走れば走るほど痛みが増し、ペースは次第に㌔6分台まて落ち込む。
それでも、沿道からは温かい声援を送られ、くじけそうな心を温め直してくれる。
右足をかばいながら走ると、今度は左足まで痙攣を起こす。
40㌔地点での事。3時間40分47秒
この時点でもう身体は限界に近づいているのだろう。満身創痍とはこの事だ。
だが、ゴールで私を待ってる人がいる。
目標のサブフォーも直ぐそこだ。
今一度、私の心に想いを注ぎ、最後の力でゴールを目指す。
最後のコーナーを曲がったとき、フィニッシュのゲートが見えた。
もう少しだ‼
ラストスパート‼。
もう汗もでない。
喉もカラカラ。
身体もボロボロ。
ふらふらな足取り。
けど、こんな私に沿道の皆さんは、温かい声援を、声高々に送る。
もう、胸いっぱいの感謝と共に両手を挙げてゴールラインを走り抜ける‼。
やったー。小声で拳を強く握る。
確信した。目標が達成出来たと。
それと同時に脇に転がり込んで座り込む。
暫くゴールの余韻に浸り、ボランティアの方々からタオルとメダルと水を受け取り、計測チップを外してもらう。そのまま記録書を受け取りに歩き出す。
いよいよ記録を確認する。
結果は…。
3時間48分04秒
目標のサブフォー達成だ‼
自分が挑戦した4時間切り‼。
マラソンを始めて、いつか4時間切りたいと思っていた事が、達成できて感極まる思いだ。
私の努力は間違っていなかった。
無駄ではなかった。
どんなことでも、"挑戦"は無駄ではない‼
自分をこんなに幸せな気持ちにさせてくれるから‼
思った事は、必ず叶う‼。
そう思ったレースだった。
今夜は余韻に浸りながら、疲れた身体を労おう。