大工とピタゴラスの関係。
新入社員の大工見習いも、一年を過ぎ、そろそろ本格的に、大工のいろはを教え込まなければならない。
大工の修行、一人前になるには、やはり人が住める『家』を作り上げる事。
それまでには、早い人でも3年、本格的な和風建築ならば、5年、社寺建築は10年以上は修行しなければ難しいだろう。
残念ながら、[3K]と呼ばれる、《キツい、汚ない、危険》と、これから職人を目指す上では通らなければならない道なのだが、今の若い子供らには、この道は辛く感じるものなのか?
私は苦では無かった。大工になることが、私の『夢』だったから。
その辛さも、明日の糧にと、繋げて今まで頑張ってきた。
新入社員の彼も、まだまだ粗削りながら、一年間頑張って精を出している。
『ゆとり世代』と呼ばれた時代の彼だが、大工になりたい‼気持ちが、少しづつ伝わってくる。
その気持ちに応えて、技術を教えたい気持ちになった。
一昔前は、仕事を見て技術を盗めと、教え込まれたが、若手不足の今の時代に合わない。
折角の若さを失うのは勿体無い(笑)
大工に欠かせない技術『規矩術』。
これを理解できないと、建築は難しい。
(HPから拝借)
勾殳玄(こうこげん)は、3平方の定理(ピタゴラスの定理)の応用である。
勾×勾+殳×殳=玄×玄
3×3+4×4=5×5
建築物の様々な寸法、特に屋根の部分、社寺建築物などは、この勾殳玄が理解できないと、大工になるのは難しくなる。
中学生位の時に習っているはずなのだが、彼は全く分からなかった(笑)
基本中の基本なので頑張って覚えてもらいたい。
私も少し忘れてしまっている部分がある。忘れやすいのも困ったもんだ。
いい機会なので、彼と一緒に勉強してみよう。一級大工技能士には必須なのだから‼